冬のモンゴル6

 磯野富士子著『冬のモンゴル』を読み継ぐ。
 ハスチョロー監督の映画『草原の女』(2000年、中国、91分、カラー)で興味をもったのが、ゲルという家だった。
 主人公ゾル母子が内モンゴルの草原地帯でゲルに暮らしている。
 映画では、母親のゾルがフェルトを作っていたり、牛乳を大鍋に入れて温めたり、足踏み式のミシンで服を縫う作業なども見られる。
 映画で、冬の火祭りとお正月も垣間見れた。
 『冬のモンゴル』によると、二月六日が陰暦十二月二十五日にあたり、ガルン・タヒルガ、すなわち火祭りが行われる。
 この日に夫は西ウジムチン王府の火祭りを見学できることになって行き、筆者は姑爺(グーイエ)の家の火祭りを見学できることになり朝から張り切って出かける。

 ゲルについて日記での説明によると、

 《入口に下がったフェルトをかかげて中に招じ入れられる。この時に戸口の敷居をふんだりしては大変に失礼なのだ。中央に一抱えもある大きな円筒型ストーブがおいてあってとてもあたたかい。入口の入ってすぐ右手には炊事道具があり、天井からピカピカに磨いた大きなお玉杓子がいくつも下っている。内部の配置はオトーフの包とはほとんど変らないが、あれよりずっと広く、別に物置の包があるので出してある品物が少ないせいか、きちんと片づいて見える。そしてハナがむき出しではなく、内側にももう一枚フェルトがめぐらしてある。
 普通私たちはモンゴル人の住んでいるフェルトのテントを包(パオ)と呼んでいるが、モンゴル人はこれを「ゲル」という。ゲルとは家ということだが、特に蒙古包というのは「モンゴル・ゲル」、フェルトでできているので「エスゲイ・ゲル」(フェルトの家)とも言う。》  96ページ