今月(1月)、松竹キネマ90周年で、「喜劇映画の異端児 渋谷実監督特集」が、映像文化ライブラリーで開催される。
6日、渋谷実監督の映画『奥様に知らすべからず』(1937年、松竹、61分、白黒)を観る。
出演は斎藤達雄、岡村文子、坂本武、吉川満子、水戸光子、笠智衆。
プログラムに、
夫婦の関係をコミカルに描いた、渋谷実監督のデビュー作。妻にまったく頭の上がらない横山氏は、侮辱されたと怒る妻の命令で、同じく恐妻家の川田氏と果し合いをすることになるが・・・。
フィルムは東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品である。
見どころはいろいろある。
恐妻家の横山氏(斎藤達雄)と同じく恐妻家の川田氏(坂本武)が、妻に頭の上がらない大恐妻家でその恐妻家ぶりが滑稽で笑えた。
ひょんなことで、妻同士の確執のとばっちりで、恐妻家の二人がたがいに果し合いをすることになる。
だが、その決闘に、本人に代わって、お互いに代理人を決闘場へ送り込んだ。
その一人、拳闘家(ボクサー)を笠智衆が演じている。
最初見ていて、笠智衆とは気が付かなかった。珍しい役どころだ。
これが渋谷実流の演出かな。
横山氏(斎藤達雄)が、ディートリッヒ、グレタ・ガルボ、シモーヌ・シモンといった女優の名前を言うシーンがあるのだが、観客へのサービスであろうか。
洋館の室内での描写がまるで当時の洋画の一シーンのようであったのには驚かされた。
とてもモダンで日本映画らしくない映画(?)の楽しみが味わえるコメディである。