渋谷実監督の映画『自由学校』のこと2

 渋谷実監督の映画『自由学校』(1951年)が公開された頃に発行された新聞と雑誌の映画紹介記事、映画のスチール写真、シナリオと見る機会があった。昭和26年の公開作品である。
 古書店へ売られたスクラップ帖の中の映画のスチール写真は、公開された映画館で掲示板に貼られるあの写真でしょうか。

 左の佐分利信が五百助、右の高峰三枝子が駒子である。

 左の淡島千景がユリー、右の佐田啓二が隆文である。

 渋谷実の映画『自由学校』(1951年、松竹、110分、白黒)のラストに、にやりとさせられる。
 五百助(佐分利信)が、地面に腕まくらで寝転んでいる場面である。
 隆文(佐田啓二)とフィアンセのユリー(淡島千景)の若い二人は、五百助のそばで横に伸びた松の枝に猿がそうするようにぶらりぶらりと、ぶら下っている。
 その様子は、子どもが無心に遊んでいるかのようだ。
 地面に寝転んでいる五百助(佐分利信)も、体が大きくゴリラが眠っているような雰囲気だ。ぶらりぶらりとじゃれている二匹の若い猿とのんびりと寝転んでいる大型の猿といった風情である。
 脇役に杉村春子、三津田健、田村秋子、清水将夫、小沢栄、東野英治郎笠智衆、十朱久雄、中村伸郎といった俳優がいきいきと熱演。