手凍えて筆動かず夜や更けぬらん

 21日が二十四節気のひとつ大寒であった。寒の入りから寒さが厳しくなる。
 連日、寒波に見舞われている。ぶるぶるっ。
 今日の最高気温6度、最低気温−2℃。晴れているが、時々牡丹雪が舞う。

 「みちのくの旅籠屋さびて火燵(こたつ)かな
 「手凍えて筆動かず夜や更けぬらん
 「無精さや蒲団の中で足袋をぬぐ
 正岡子規の明治二十八年の句である。

 ギリシャの映画監督、テオ・アンゲロプロス監督が、映画撮影中、バイクにはねられて亡くなったとニュースで知る。来月(2月)「テオ・アンゲロプロス監督特集」があり三本上映されるようだ。*1
 
 虫明亜呂無著『女の足指と電話機』(清流出版)を読む。
 副題に、「回想の女優たち」とあり、ジル・クレイバーグの魅力やフレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』(ヴァネッサ・レッドグレーヴジェーン・フォンダ主演)のなかの女の友情をめぐる文が面白い。
 『ジュリア』はリリアン・ヘルマンの回想を元に作られた映画で、アメリカで成功したドイツ系ユダヤ人のリリアンが、反ナチス運動にたずさわり虐殺された少女時代から仲良しだった同じドイツ系ユダヤ人だったジュリアを追憶する。
 この映画批評は読みやすい。
 新聞「スポーツ・ニッポン」に連載していたエッセイだからだろうか。
 その『ジュリア』の背後事情を虫明亜呂無が語っているところは、うなずくところだった。
 監督のジンネマンもオーストリアからナチスによって追放されたドイツ系ユダヤ人であるそうだ。

女の足指と電話機―回想の女優たち

女の足指と電話機―回想の女優たち

 

*1:今回の特集では、詩人の人生最後の一日を描く「永遠と一日」、「霧の中の風景」、「こうのとり、たちずさんで」の3作品を上映。