フレデリック・ワイズマンの『パナマ運河地帯』

パナマ運河地帯

 25日、シネマテーク・プロジェクト第4弾「フレデリック・ワイズマンのすべて」の一本、『パナマ運河地帯』(1977年、174分、白黒、日本初公開)を観に出かけた。原題はCanal Zone。

 プログラムより引用、
 永年、事実上アメリカの植民地だったパナマ運河地帯。1977年にカーター大統領は、将来的に運河地帯を返還すること、新運河条約を締結し運河を米パ両国で共同管理することを決めた。運河の通過する船舶、民政の側面、軍の仕事などが絡み合い、政府機関、ビジネスマン、軍、民間人など、様々な人々が行き交う。ここに暮らすアメリカ人の生活の社会的、宗教的、娯楽的側面が描かれる。同地帯は1999年12月31日にパナマに完全返還された。 
 冒頭、大きな貨物船がパナマ運河へやって来る。
 マツダトヨタの車を積む日本の貨物船、パナマの運河会社の水先案内人の指示で運河の航路を進む貨物船のシーンから始まる。
 パナマ運河は観光地で観光客が見ている光景。
 つぎからつぎと、パナマの市民生活の断片が見られる。街頭の新聞売り、スーパーマーケットで買い物する市民、教会での宗教的行事の様子、生活福祉の現状とその対策をめぐる地域住民の会合、アメリカ本土からの家族ぐるみでパナマへ赴任している家族の虐待問題などコミュニティの問題、軍の放送しているテレビ局での軍人の出演する番組、軍の人事を伝える。住民がアメリカ軍関係者とパナマ運河会社とその関連の人々それに現地の住民のスポーツを楽しむ様子や日常を伝える。軍人墓地への墓参。退役軍人会の小さな記念式典へ現役の司令官が出席しての演説。
 『パナマ運河地帯』は、いたってシンプルな映像だが、退屈することはなかった。
 最後の落下傘部隊の実戦訓練は、まるで戦場さながらであった。
 ラストは遠望されるパナマ運河を航行する船舶が再び見られる。
 フィルムの状態は良くなかった。16ミリフィルムらしい。なお、この映画は日本初公開作品。

 「フレデリック・ワイズマンのすべて」のカタログを購入。(発行・コミュニティシネマセンター)