シネマテーク・プロジェクト第4弾、「フレデリック・ワイズマンのすべて」の一本、フレデリック・ワイズマン監督の映画『コメディ・フランセーズ 演じられた愛』(1996年、223分、カラー)を観た。
プログラムに、
歴史と伝統を誇るフランスの国立劇団「コメディ・フランセーズ」の全貌を映し出した作品。企画会議からリハーサル風景、劇場の全景、演出家や俳優たちの表情、楽屋裏の様子、経営委員会や劇団の年金制度をめぐる会議に至るまで。克明に描く。ラシーヌの「ラ・テバイット」、モリエールの「ドン・ジュアン」など、四つの芝居の模様が部分的に記録されている。
冒頭、セーヌ川、パリの街並み、それから劇場の中の劇作家の彫像を次々とカメラが映して行く。
芝居のリハーサル風景が延々とつづく。演出家が俳優の演技にあれこれ意見を言い、やり直す様子。
舞台の裏方の大道具の収められた、市街から離れた土地にある大道具の保管建物が撮られている。
劇場の裏方で働く職人。照明技術者、芝居に使う俳優が着ける鬘(かつら)や衣裳や小道具を作っている。
清掃やレストラン多くのスタッフがコメディ・フランセーズで働いている。
職種別の労働組合になっていて、昇給問題で労使の協議が問題になっているが、いくつも組合があり、それぞれの組合同士での駆け引きがあって複雑だ。
経営陣は解決しようと議論している。
ラシーヌ、マリヴォー、モリエールらの戯曲が俳優によって演じられた。
それぞれ芝居の一部だが俳優の熱演が見どころだ。芝居を楽しむ満席の観客。
ラストに、コメディ・フランセーズの俳優が余生を過す養老院を、コメディ・フランセーズを代表して、女優のカトリーヌ・サミーらが訪れる。
パリ郊外にあるヴェルサイユに、施設がある。
百歳の誕生日を迎えた元女優が名誉市民として市から銀メダルを贈呈される式典に参加するために現役の女優のカトリーヌ・サミーらが出席するのだった。
彼女がお祝いの言葉と、かつて若い頃に百歳を迎えた元女優と共演したことがあり、昔話をする談話のシーンが印象的だった。
字幕翻訳は、水原文人。