『海の野郎ども』

 「新藤兼人 百年の軌跡」で回顧上映されているうちの一本。
 新藤兼人監督の『海の野郎ども』(1957年、日活、86分、白黒)を観た。立ち見が出るほどの盛況で満席。

 出演は、石原裕次郎安井昌二殿山泰司西村晃。撮影が宮島義勇、音楽は伊福部昭である。
 新藤兼人オリジナル脚本。フィルムは、東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品。

 5月プログラムによると、 

石原裕次郎主演のアクション映画。スクラップを満載して東京湾に入ってきた外国の貨物船で暴動が起きる。積荷をおろす作業員のリーダー・千鳥松(石原裕次郎)は、船長たちの不正を知り、乗組員たちとともに闘う。 

 冒頭、鉄屑のスクラップを満載した外国貨物船が港にやって来た。
 やつらはやって来た。
 港湾労働者たちは、この船がやって来るのを待っていた。
 千鳥松(石原裕次郎)は、クレーンで船倉から鉄のスクラップを運び出す作業の港湾労働者のリーダーである。
 どんがめ(殿山泰司)や、めっかち(西村晃)らは、船長に賄賂と女を連れ込んで、スクラップの真鍮部品を密輸入しようと謀(はか)った。
 船長らとどんがめとめっかちらの悪事に気づいた千鳥松やアラブ人や黒人や中国人の船員らは船長のやり方に抗議して、クレーンを動かす機関室のボイラーを止めた。
 千鳥松らのサボタージュに、荷役会社との連絡役の菊浦(松本染升)がやって来て、ボイラーの栓を開くように千鳥松に命じた。
 やむを得ず千鳥松は、抵抗する船員らと乱闘騒ぎになり、クレーンは再び動き出した。
 その際に、船員の一人が負傷した。
 千鳥松は陸に戻り、医師を連れて来て怪我をした船員を診させた。
 そのとき船長らは抵抗した船員への食料を支給しないぞと脅していた。
 千鳥松は怒って再びボイラーを止めさせた。
 それを聞いた菊浦がやって来て怒ると、再びボイラーの栓を開けさせた。
 そこへ船主から船長ら高級船員の雇用契約解除の通知を代理人が知らせにやって来た。
 高級船員らが去ることで対立は解消し、再び船倉からのスクラップをクレーンで運び出す作業がつづけられた。
 後日、千鳥松(石原裕次郎)が荷役会社に損害を与えたとして、腹いせに菊浦(松本染升)は子分を使って千鳥松を袋叩きにした。倒れた千鳥松を見つけたどんがめ(殿山泰司)や、めっかち(西村晃)らは船長らと謀(はか)って真鍮を密輸入しようとして邪魔されたのを根に持って千鳥松を海へ放り込んだ。
 だが、船長らの不正に抗議して千鳥松と共に団結して戦った船員らが、夜の海に沈んでいる千鳥松を助けにボートで近づいて来た。千鳥松は彼らの友情で助けられた。
 翌朝、鉄のスクラップをすべて吐き出した外国貨物船は去って行った。
 やつらは去って行った。