お化け好きの友人

 昨年(2011年)の五月から六月にかけて「畑耕一文学資料展」があり興味深くその資料を見たのでした。小説、戯曲、随筆、演劇論、翻訳、俳句、畑耕一原作の映画、作詞とさまざまなジャンルに畑耕一は足跡をのこしています。
 折に触れて、畑耕一について言及している本があれば見るようにしていました。
 それが、余りないのですね。人名事典でも生年月日がそれぞれバラバラで違っていたりと不正確なままです。
 ちょうど「畑耕一文学資料展」から一年になるので、気づいたことなど書いてみましょう。
 最近出た本で、東雅夫『文学の極意は怪談である』(筑摩書房)が、畑耕一について直接は言及はないのですが、芥川龍之介について触れている中に、注目すべき箇所がありました。

 

東京駒場日本近代文学館に収蔵されている「芥川文庫」は、芥川家から寄贈された龍之介の旧蔵書二千六百余点と、草稿、書簡、書画などから成る。書画の中には、芥川が好んで絵筆を執った各種の河童図や人魂やのっぺらぼうなどを描いた『化物帖』が含まれているが、彼の「お化け好き」を偲ばせる遺品は、実はそれのみにとどまらない。旧蔵書の三分の一強にあたる八百冊余の洋書の中には、右に掲げたとおり、泰西怪奇文学に対する芥川の並々ならぬ関心のほどを窺わせる書目が散見されるのである。
 ページの余白にペン書きされた読了の日付から判断すると、芥川は出世作「鼻」で文壇に名を馳せた大正五年(一九一六)前後から大正九年(一九二〇)あたりにかけて、集中的にそれらの書物を読み漁っていたらしく、ことに九年の夏から秋にかけては、『ドラキュラ』『不気味な物語』『考古家の怪談集』などを次々に読破している。  154〜155ページ

 《ことに九年の夏から秋にかけては、『ドラキュラ』『不気味な物語』『考古家の怪談集』などを次々に読破している。》とあるのですが、『考古家の怪談集』の作者はM・R・ジェイムズです。
 つまり、この時期に芥川龍之介はM・R・ジェイムズを読んでいたのですね。
 そのM・R・ジェイムズですが、「畑耕一文学資料展」に畑耕一によるM・R・ジェイムズの本の翻訳草稿がありました。

文学の極意は怪談である ―文豪怪談の世界

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