ファウスト劇のこと


 先日、梅雨の中休みに公園の池に糸トンボを見かけた。三センチほどの大きさで葉に止まっていた。 

イトトンボ科のトンボの総称。体は小形で細く弱々しく、翅(はね)の脈は粗い。翅を立てて止まる。キイトトンボ・アジアイトトンボなど。とうすみとんぼ。  『大辞泉

 アレクサンドル・ソクーロフ監督の最新作『ファウスト』について、朝日新聞のインタビューを読む。
 
 参照:ソクーロフ監督「権力」語る 金獅子賞「ファウストhttp://www.asahi.com/culture/intro/TKY201206280437.html
 
 最近読んだ本ですが、池内紀著『悪魔の話』(講談社現代新書)に、ファウスト劇について次のように語られていました。

 

チュービンゲン学生の手になる『ヒストリア・ファウスティ』以後、わが手塚治虫による遺作まで、「ファウスト」異本は無数にある。はじめはとりわけ民衆劇や人形劇に好んでとりあげられた。たとえば十七世紀にブレーメンで演じられたファウスト劇は、のこされている宣伝文によると、こんなぐあいだ。
「大魔術師ファウスト博士の生と死。初めから終りまでお道化が一杯!」
 さまざまな異本があるにせよ、ファウスト劇の大半はグロテスクや「お道化」のありったけをとりこんだバーレスクだった。ファウストの地獄巡りといった筋立てだけが決まっていて、あとは出たとこ勝負で即興を追加し、はなばなしいスペクタクルで、人々をたのしませた。 119〜120ページ *1

悪魔の話 (講談社現代新書)

悪魔の話 (講談社現代新書)

*1:注:バーレスク=burlesque、下品で滑稽なしぐさを取り入れた踊りの多い芝居。