『キネマの天地』

 山田洋次監督の映画『キネマの天地』(1986年、松竹、135分、カラー)を鑑賞。
 出演は中井貴一有森也実渥美清、すまけい。
 今月のプログラムより引用すると、 

 

松竹大船撮影所50周年記念作品。日本映画がサイレントからトーキーへ向かう頃を時代背景に、映画館の売り子からスカウトされた女優をめざす田中小春と、彼女を励ます助監督の島田健二郎を中心に、映画作りに情熱を燃やす撮影所の人々の群像を描く。

 松竹大船撮影所50周年記念作品とあるのだが、大船撮影所ではなく、松竹キネマ蒲田撮影所を舞台にした作品である。
 冒頭、スクリーンのクレジットで、脚本は井上ひさし山田太一朝間義隆山田洋次の四人が担当している。撮影は高羽哲夫。製作が野村芳太郎
 サイレント映画の時代に浅草の映画館で売り子をしていた田中小春(有森也実)が松竹キネマ蒲田撮影所の小倉監督(すまけい)からスカウトされる。
 最初は、小春はセリフのない看護婦役からスタートするが、監督からの演技指導に泣かされることもあった。
 そのときに助監督の島田健二郎(中井貴一)に励まされ、女優への道を着実に歩む。
 ある日、主演女優だった川島澄江(松坂慶子)が撮影中に国外へ恋人と共に逃避行をし、川島澄江主演の映画『浮草』の代役に小春が抜擢された。
 初めての主演女優に抜擢された小春だったが、クライマックスの撮影で、相手方との演技に小倉監督からのNG(no good)がつぎつぎに出て、撮影が完了しないので、小春は演技に迷い悩むのだった。
 その悩んでいる小春に、今は病身の昔芝居の旅回りの役者をやっていた父・喜八(渥美清)は、映画『浮草』の主人公の身の上に、喜八自身の身の上を重ねながら、娘の小春の本当の父親が自分ではないことを、しんみりと語って聞かせるのだった。
 無事、撮影が終り、浅草の映画館で『浮草』は観客が大入りで大成功だった。
 父・喜八(渥美清)は、娘の小春の主演の映画をゆき(倍賞千恵子)と見に浅草の映画館へ出かけた。
 ラスト、撮影所の城田所長(松本幸四郎)が、蒲田撮影所が手狭になったので大船に新しい撮影所を作っていますと演説する場面、小春の父が浅草の映画館で小春の映画を観ながら亡くなった知らせが届く。小春は知らずに歌を歌っている・・・。

 『キネマの天地』を観ていて、笠智衆がトモさんという役で出演しているのだった。