『アギーレ/神の怒り』

アギーレ/神の怒り

 午前5時30分ごろに東南東にオリオン座が昇って来ていた。
 夜明け前で、東に高度40度に金星がひときわ明るく輝いていた。 
 まだ暑苦しい熱帯夜がつづくが、夜明け前の吹く風は涼しい。

 今月(8月)は「ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集」が映像文化ライブラリーで開催されている。
 上映作品は四本である。『アギーレ/神の怒り』(1972年)、『ノスフェラトゥ』(1978年)、『フィツカラルド』(1982年)、『キンスキー、我が最愛の敵』(1999年)。
 24日、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『アギーレ/神の怒り』(1972年、ドイツ、93分、カラー)を鑑賞。
 出演は、クラウス・キンスキー、エレナ・ロホ、ルイ・グエッラ、デル・ネグロ。

 パンフレットより引用すると、 

アギーレ率いる探検隊が、南米アマゾンの奥地にあるという黄金郷を目指す。しかし、熱病や襲撃などに次々と襲われ、アギーレは次第に狂気に駆られてゆく・・・。1560年代、黄金郷エル・ド・ラドを目指して進軍したスペインの探検隊の末路を描く。

 南米アマゾンの奥地の山岳地帯を探検隊本体が行軍するが、道が困難なので先遣隊を出す事になった。
 河を筏を作ってそれに馬や大砲や弾薬や塩や食料や兵士や貴族や宣教師らを乗せて下ってゆく。
 その指揮官のアギーレをクラウス・キンスキーが演じている。
 スペインの探検隊なのだが、セリフをドイツ語で話す。ちょっと変な感じが、はじめはするのだが、だがそんなことは忘れて観ていた。川沿いの集落を襲って、家を焼き払い探検隊は塩や食料を奪う。
 先住民からの反撃で毒矢で射られて倒れる兵士。その恐怖。
 それでもエル・ド・ラド(黄金郷)があるに違いないと川を下ってゆく先遣隊。
 だが、そんな黄金郷などどこにもない・・・。
 隊員が熱病にかかりつぎつぎと倒れてゆく。反抗する隊員を無慈悲にも命を奪うアギーレの独裁者ぶりにぞっとする。
 川岸の密林から弓で攻撃され大砲で銃で防戦する一行。
 しだいに狂気に陥っていくアギーレの形相が凄まじい。
 黄金郷を夢見て、もし見つかればスペイン本国から独立して独り占めしようとすら夢想するアギーレ(クラウス・キンスキー)の狂気が印象的だった。