映画『メモリー 君といた場所』

「タイ映画特集」の1本、ヘーマン・チェータミー監督の作品で『メモリー 君といた場所』(2006年、タイ、105分、カラー)を観る。
 原題はThe Memory。
 出演は、ラッタプーム・トーコンサップ、ポーラ・テイラー、イード・ポーンラーンサオーン。
 「タイ映画特集」パンフレットに、 

タイの国民的スターのフィルムは、一人で旅行に出かける。途中、彼は交通事故にあい、記憶を失ってしまう。そんなフィルムにジャーという女性が近づき、いつしか2人は惹かれあうようになるが…。タイ北部を訪れて記憶を失ったスターが、女性と恋に落ちる物語。

 冒頭、山岳地帯の山道を走る車が一台、男フィルム(ラッタプーム・トーコンサップ)が一人運転している。
 山のなかの町を通りかかり、店に寄ろうと車を止めて降りる。
 車を追っているパパラッチの女性カメラマンのジャー(ポーラ・テイラー)が、車の中からこっそりフィルムの盗撮をする。ジャーは芸能人の写真を追いかけて撮るパパラッチのカメラマンなのだ。
 フィルムは山岳道路を走っていて、黒豚が道に出て来たのを避けようとしてハンドルを切り山道から転落してしまった。
 フィルムは転落した山林のなかにいた山岳民族のロースー(イード・ポーンラーンサオーン)に助けられる。助かったフィルムだったが、記憶喪失におちいっていた。
 高床式住居のロースーの家に居候をさせてもらう。
 照葉樹林の山林へ、ロースーのキノコ採りにお供して出かけ、背負い籠(かご)に一杯収穫する。
 ロースーと村の路上市場へ売りに出かけ、キノコを売っている所に、偶然にもパパラッチカメラマンのジャーがやって来て見つける。村は山岳民族観光地になっていて、都会から観光客などが訪れている。
 これはスクープになると、大喜びでジャーは記憶喪失したフィルムへ近づくのだったが・・・。
 山岳の山林風景、滝のある渓谷、つり橋、渓谷の流れ、山岳民族の樹木への精霊信仰の儀式、祭の様子、精霊の宿る樹木に夜になると無数の蛍が光り乱舞する光景の神秘的な映像が印象的だ。
 ロースーもそうだが、ロースーの一族の二人の女友達が三枚目役で、この物語に笑いを与えている。三人の可笑しくて茶目っ気のあるシーンが多くとても楽しめた。
 ポーラ・テイラーの演技が魅力的である。