今月(10月)は、映像文化ライブラリーが開館30周年を記念して、「日本映画スター・ベスト30」が10月から12月にかけて上映される。
その初日、12日、大曽根辰夫監督の映画『鞍馬天狗 角兵衛獅子』(1951年、松竹、91分、白黒)を観た。原作・大佛次郎。脚本は八尋不二。
出演は、嵐寛寿郎、美空ひばり、山田五十鈴、月形龍之介。
35ミリではなく16ミリ・フィルムでの上映で、観客が多い。
10月プログラムより引用。
戦前から戦後にかけて、幾人かの俳優が鞍馬天狗を演じたが、その中でも極め付けが嵐寛寿郎による鞍馬天狗。この「角兵衛獅子」では、杉作に美空ひばり、近藤勇に月形龍之介、鞍馬天狗に復讐を誓う女に山田五十鈴という配役で、鞍馬天狗と新撰組との闘いがスリリングに描かれる。
大佛次郎の小説が原作である。隼の長七を加藤嘉、黒姫の吉兵衛を川田晴久が演じている。
大阪城の大手門で杉作(美空ひばり)と吉兵衛(川田晴久)が歌う場面があり、歌声に惹かれてやって来た門番たちの警備の手薄を狙って、杉作が、城内に捕らわれて監禁されている鞍馬天狗を助けに潜入するのだった。
川田晴久と美空ひばりの歌声が聞えてくるシーンはちょっとしたミュージカル映画になっている。
近藤勇の月形龍之介と鞍馬天狗の嵐寛寿郎の闘いの場面、月形龍之介のチャンバラのシーンは緊迫感と迫力がある。ラスト、白馬にまたがり街道を走り去る鞍馬天狗。
山田五十鈴が鞍馬天狗の命を狙う女を演じている。何度も近づき命を狙うのだが・・・。
その心理描写など演出に工夫をこらしている。
斉藤寅次郎監督の映画『東京キッド』(1950年、松竹)に、美空ひばりと川田晴久とが共演している。
川田晴久は流しの歌手役で出演していたが、大曽根辰夫監督の映画では、飴(あめ)売り姿で、飴がいかに身体に良いか、喉をうるおすか、おいしいかと前口上を言いながら歌うのだった。
観終わって、映画『鞍馬天狗 角兵衛獅子』は、美空ひばりと川田晴久にとって、『東京キッド』の翌年の出演作だと気がつく。