映画『千羽鶴』

千羽鶴

 1日、「日本映画 スター・ベスト30」の特集の作品で、増村保造監督の映画『千羽鶴』(1969年、大映、96分、カラー)が上映される。
 出演は京マチ子若尾文子平幹二朗、梓英子。
 脚本は新藤兼人で、音楽が林光です。
 11月プログラムからの引用。
 

川端康成の同名小説を新藤兼人が脚色。茶の湯の師匠・三谷菊治の父には、2人の愛人がいた。太田夫人(若尾文子)は父に似た菊治に激しい愛情を寄せ、栗本ちか子は結婚相手を世話することで菊治を掌中に収めようとする。菊治をめぐる愛と葛藤を冷ややかなタッチで描く。

 三谷菊治の父を船越英二、栗本ちか子を京マチ子、菊治を平幹二朗、太田夫人の娘の文子を梓英子が演じている。北林谷栄が菊治の家の婆やという役どころ。
 茶道の世界を舞台にして、京マチ子若尾文子平幹二朗、梓英子の四人が茶の湯の師匠・菊治の父をめぐって、各自が妄執にとらわれている。
 死者から解き離れられないかのごとくに四人が翻弄されてゆきます。
 菊治に絡(から)まるその心理的な緊迫感のある展開、京マチ子若尾文子らの妖艶さもすごい。
 菊治や文子らが、菊治の父の茶の湯の道具である茶碗を、それぞれ茶室の外の石に叩きつけて割る激情的な場面も印象的だ。
 
 余談をひとつ、増村保造監督『卍(まんじ)』(1964年、大映、90分、カラー、シネスコ)は谷崎潤一郎の小説が原作ですが、これも脚本が新藤兼人ですね。
 またこれにも若尾文子船越英二が出演しています。