「日本映画 スター・ベスト30」が、10月から特集で上映されている。
12月は、《夭折のスター赤木圭一郎のシリーズ第1作「拳銃無頼帖 抜き射ちの竜」、佐田啓二と岸惠子の共演で、戦後のメロドラマの代表作ともいえる「君の名は」三部作、市川雷蔵が悲壮感あふれる立ち回りを見せる「薄桜記」、小林旭のシリーズものの原点となった「南国土佐を後にして」などを上映します。》
7日、野口博志監督の映画『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960年、日活、86分、カラー)を観た。音楽は山本直純。撮影は永塚一栄である。
出演は赤木圭一郎、宍戸錠、浅丘ルリ子、香月美奈子。
12月プログラムに、
21歳の若さで亡くなった赤木圭一郎の人気シリーズの第一作。相手の肩を撃ち抜き、殺さぬ殺し屋“抜き射ちの竜”として知られる竜二(赤木圭一郎)。竜二は、麻薬密輸団のボスの用心棒になったことから、思わぬ事件に巻き込まれていく・・・。
フィルム提供・日活。
昭和35年の公開作品。
冒頭、竜二(赤木圭一郎)が深夜撃ちあいで相手を倒した後、意識を失ってしまう。
気がついてみると、町医者(菅井一郎)の病室のベッドにいるのだった。すっかり回復した竜二だったが、竜二を町医者のところへ運び込み助けたのは、殺し屋のコルトの銀(宍戸錠)だった。
中国人の麻薬密輸団のボス・楊(西村晃)が入院治療代を出していた。
竜二の拳銃の腕前を見込んでのことであった。
コルトの銀と一緒に楊の元ではたらくこととなった。
竜二が出向いた洋装店で出合ったみどり(浅丘ルリ子)は、楊に与えられたアパートの同じ住人だった。
ふとしたことから言葉をかわすようになり、竜二はみどりに連れられて孤児院の子供におもちゃを贈るのに共に行った。
みどりの兄(草薙幸二郎)は麻薬取締官をしている。
密売仲間の堀組のボスの堀(二本柳寛)から手を切り、密輸を直接外国人と取引しようとたくらんでいた楊は、竜二に堀を殺す事を命じた。
それを拒んだ竜二に楊の子分の張(藤村有弘)が、襲いかかってきた。
中華料理店の調理場で中華包丁で竜二に襲いかかるアクションシーンはハラハラドキドキ。まるで香港映画の格闘シーンだ。
竜二は弟分の元プロボクサー圭吉(沢本忠雄)とその恋人の房江(香月美奈子)を助け、麻薬の密輸の取引の場所へ火薬を積んだトラックで乗り付けて、港の倉庫街で楊一味らと銃撃戦を繰り広げ、ボスの楊も撃って倒した。
しかし、竜二の前に、一度は命を助け恩を売ったコルトの銀が立ちふさがった。
竜二に銃の腕前がどちらが上か決闘を挑んで来たのだ。
しつこく竜二に迫るのだったが、コルトの銀(宍戸錠)も撃ち倒した。
ラスト、霧の波止場で逮捕される前にみどりの兄の麻薬捜査官を待たして、みどり(浅丘ルリ子)は竜二(赤木圭一郎)にいつまでも待っていると言い、竜二は麻薬捜査官に連れられて行くのだった。
浅丘ルリ子と赤木圭一郎のラストシーンが印象的だ。