山口昌男さんのこと、笑いと逸脱

 3月10日に、山口昌男さんの訃報を最初ネット記事で知った。
 翌日の新聞でおくやみ記事を読んだり、12日の大塚信一氏の「山口昌男さんを悼む 人間を見詰め知に遊ぶ」という文を読んだ。
 山口昌男さんといえば、最近読んだ本で、川本三郎著『そして、人生はつづく』(平凡社)に面白いエピソードが書かれていた。
 川本三郎さんが中学生の時に、教えてもらった先生が山口昌男さんだった。
 縄文人の一日を日記に書けという宿題に、川本三郎さんがマンモスを狩りましたと書いて山口昌男さんから頭をポカリとなぐられた例の有名な(?)エピソードもあるのですが、もうひとつ外国映画で女優だったか山口さんが名前を知らなかったのを川本さんは知っていて、先生の山口昌男さんへ教えたというエピソードが紹介されていた。
 『そして、人生はつづく』の版元は平凡社ですが、「現代人の思想」という平凡社から全22巻で刊行された本の一冊に、「未開と文明」があります。
 この「未開と文明」の編集・解説を山口昌男さんが担当して、当時、すごく衝撃的だったわけです。
 この巻の編集・解説を担当させたのが林達夫さんなのですね。

 山口昌男さんの『笑いと逸脱』という本に、「著者紹介」が巻末にあり、参考になるかと思い、一部引用します。
雑食的な読書欲を発揮し、多岐にわたる分野・人物のものを読みまくる。なるべく人の読まないものを読もうと志し、次第に国史から人類学へと逸脱。
 それはさて置き、山口昌男さんに一度お会いしたことがありました。
 ある新聞社の講演会で講演が終わった後、会場から出て来られた時のことです。
 京都の一澤帆布のバッグを山口さんが肩から提げていたので、一澤帆布ですかと聞いたことがありました。
 ニューヨークへもこの一澤帆布のバッグを提げて行っていますという返事でした。