映画『ダック・シーズン』

映画『ダック・シーズン』

 「中南米映画特集」が映像文化ライブラリーで上映されている。
 22日、フェルナンド・エインビッケ監督の映画『ダック・シーズン』(2004年、メキシコ、90分、白黒)を観る。原題はTemporada De Patos。
 出演は、ダニエル・ミランダ、ディエゴ・カターニョ・エリソンドエンリケ・アレオーラ、ダニー・ペレア
 
 3月プログラムより引用。
 14歳のフラマとモコは留守番をすることになる。そこへ隣に住む女性やピザ屋が訪ねて来るが・・・。停電が原因で、休日をともに過ごすことになった男女4人の間に芽生える絆をユーモラスに描く。
 フラマ(ダニエル・ミランダ)とモコ(ディエゴ・カターニョ・エリソンド)は、フラマの母親が用事で親戚に出かけた日曜日の一日を、高層アパートの部屋で、テレビゲームに夢中になって過ごしている。
 停電になり、隣に住んでいるリタ(ダニー・ペレア)という16歳の少女がオーブンが使えなくなったので、ケーキを焼くのでちょっと使わせてと部屋へやって来る。
 リタはオーブンの温度計が摂氏と華氏で違っているのを飲み込めないでケーキを焼くのだが、焼き上がりを失敗してしまう。
 腹が減ったと留守番の二人は配達ピザ屋へピザを注文した。
 オートバイにピザを乗せてピザ屋が階段を汗をかきながら駆け上って届けに来た。
 フラマは、ピザ屋が30分以内に届けなかったと言って、お金は払わないと言った。
 ピザ屋はちょうど30分で届けたと言って譲らなかった。
 ピザ代を払うまで部屋に居座ると言い、居座り始めた。
 初めは、四人がてんでんばらばらに好き勝手にして過ごしていたのだが・・・。
 部屋に架けられている一枚の絵、渡り鳥の鴨が空へ飛び立とうとしている湖を描いた風景画をめぐってピザ屋の青年(エンリケ・アレオーラ)とフラマが談話しているうちに、青年の過去やフラマの出生の秘密がしだいに明らかになっていく。
 リタのケーキ作りをモコは卵の泡立てで手伝わされる。
 そしてリタがなぜケーキを作っているかが、しだいに明かされてゆくのだった。
 ケーキが焼きあがり、リタの誕生日を祝うケーキを四人が囲んで、ローソクの火をリタが吹き消すのだった。
 そして、皆で焼きあがったケーキを食べるシーンがあるのだが、本当に満足して美味しそうだ。
 ピザ屋の青年とフラマが渡り鳥の鴨が空へ飛び立とうとしている風景画をめぐる談話からフラマの出生の秘密が分かり和解した二人が、配達されたピザを切り分けて美味しそうに食べるシーンもいい。
 ラスト、ピザ屋の青年がその風景画をピザ屋のオートバイの荷台にくくり付けて暗くなった街を走り去って行く。
 渡り鳥が新天地を求めて空へ飛び立とうとするかのように・・・。