帰らなんいざ草の庵は春の風


 最低気温9℃、最高気温15℃。快晴で乾燥した西南西の強い風が吹く。 
 枝垂れ桜(シダレザクラ)、染井吉野ソメイヨシノ)の後に、八重桜が咲いた。
 ちょうど見頃である。紅色の花びらが密生していて、風にゆれる。 

八重咲きのサトウザクラ、ヤマザクラから変化したもので、桜の中では遅く開花し、花色は白・紅・緑黄など。ぼたんざくら。  『大辞泉

 「帰らなんいざ草の庵は春の風」 

 大正八年の芥川龍之介の俳句です。
 「教師をやめる」という前書きが付いている。
 
 大正八年、鎌倉に住んで芥川は横須賀の海軍機関学校の教官をしていた。
 鎌倉に住んでいた当時、芥川は久米正雄など七八人で句会をやって遊んでいた。
 四月に鎌倉を引き揚げて田端へ養父母と住むことになる。
 海軍機関学校を辞めて、出勤の義務のない大阪毎日新聞社社員となる。

 もう一句、「この頃や戯作三昧花曇り」、大正八年の句です。
 この句には、「人に答ふ」との前書きがあります。