関川秀雄監督の映画『ひろしま』

 7月から引き続きの「平和のシネマテーク2013」からの一本、関川秀雄監督の映画『ひろしま』(1953年、日本教職員組合映画製作委員会、104分、白黒)を観る。
 出演は山田五十鈴岡田英次月丘夢路加藤嘉。音楽は伊福部昭である。
 8月プログラムより引用。
 

長田新編の『原爆の子』をもとに、「きけわだつみの声」の関川秀雄が監督した作品。原爆投下直後の広島の惨状と、その中を生き延びた子どもたちのその後を描く。月丘夢路山田五十鈴が、惨禍の中を逃げ惑う教師や母親を熱演している。

 建物疎開で生徒が動員されてその作業に当たっている。
 セットの町並みに路面電車が走っている。当時の町並みの一部を再現している。
 原爆の惨禍の後に生き延びて孤児になり似島学園で育った少年らの戦後の生活までを描いている。
 岡田英次は戦後に広島に赴任してきた高等学校の教師。教え子が原爆症になり原爆の影響に思いをいたすことになる。
 山田五十鈴は小学生の兄と妹の母親で原爆に遭う。月丘夢路は建物疎開の生徒を引率していた先生を演じている。
 ロケ当時の広島の原爆ドーム付近の風景などが見られる。
 復興途上の街の様子も映されている。

 関川秀雄監督は、三國連太郎主演の映画『大いなる旅路』(1960年、東映、95分、白黒)の監督ですね。
 蒸気機関車時代の昭和の鉄道員で、機関士一筋に生きた男(三國連太郎)の半生と家族の絆を描いた作品があります。
 本物の蒸気機関車を脱線させて撮っていたりと、蒸気機関車と機関士の働く現場の映像がリアルで印象深い。新幹線が走る直前までの「昭和」を描いています。