カレル・ゼマンの「悪魔の発明」

 10月と11月の2ヵ月にわたり開催される「カレル・ゼマン特集」からの一本。
 13日、カレル・ゼマンの『悪魔の発明』(1958年、チェコ、82分、白黒)を観る。
 35ミリ・フィルムではなく、DVカムによる上映だった。
 出演は、アルノシュト・ナヴラーチル、ルボル・トコシュ、ヤナ・ザトロウカロヴァー。
 大富豪が科学者を拉致して、世界を征服するための究極の兵器を作ろうとする。科学者とその弟子は、富豪の野望を挫くため、自らの命を顧みずに闘うが・・・。実写の人物とアニメーションの組み合わせで、動く銅版画のようなイメージで描いたゼマンの代表作。(特集パンフレットより。)
 ジュール・ヴェルヌの小説『悪魔の発明』(原題『国旗に向かって』 )の映画化である。
 小説の挿絵の銅版画と実写とを組み合わせている。本の銅版画の挿絵が実写の人物と違和感なく溶け合っていての特撮が見る値打ちがある。
 冒頭、嵐の中を海賊が幽閉されていた建物で研究をしているロック教授(アルノシュト・ナヴラーチル)と助手志望の技師の青年(ルボル・トコシュ)を襲って誘拐するシーンから物語が始まる。
 嵐の中の活劇シーンは見ごたえがある。
 囚われた二人は海賊の潜水艦で海賊の秘密の島へ向かう。
 海賊は途中撃沈した客船の女の乗客ヤーナ(ヤナ・ザトロウカロヴァー)を助けた。
 その島は遠くから見ると噴煙が上がっていて、火山島に見えるのだが、噴煙と見えたのは島は内部が空洞になっていて近代的な工場の設備があり、その煙突からの排煙だったのだ・・・。
 
 海底で大蛸と闘うシーン。