ニキータ・ミハルコフ監督の映画『光と影のバラード』

 《数々の国際映画祭で受賞するなど、ロシア映画界を代表する監督の1人であるニキータ・ミハルコフ。今回の特集では、白軍と赤軍の闘いを描いたアクション映画「光と影のバラード」、チェーホフの戯曲などを原作にした「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」など、1970年代に制作された4作品を上映します。》

 ニキータ・ミハルコフ監督の映画『光と影のバラード』(1974年、旧ソ連、95分、カラー)を観る。
 出演は、ユーリー・ボガトィリヨフ、アナトーリー・ソロニーツィン、セルゲイ・シャクーロフ、ニキータ・ミハルコフ、アレクサンドル・カイダノフスキー。

 赤軍兵士のシーロフを主人公に、彼が護送する金塊をめぐって、白軍やアナーキストが入り乱れて激烈な争奪戦が展開する。1920年代の革命の時代を通して、共に命を懸ける男達の友情や裏切りを描いた。ミハルコフ監督の長編デビュー作。

 モスクワのボルシェビキ政権から、国内では国際連盟からの援助がなく農民が飢えているのに食料を買うための資金が足りないので、資金をモスクワへ至急に送れというテレタイプによる指令を受け取った地方政府の男たちがモスクワへ列車で送金する物語である。
 金貨50万ルーブルを、地方はまだ政情が不安定で白軍やアナーキストの残党からの攻撃があるかもしれないので、資金の列車での護送には警護は付けられなかった。
 50万ルーブルの護送中に、列車は白軍の騎馬隊に襲われ乗っ取られる。
 だが、それも今度は盗賊団の騎馬隊一味に襲われた。
 映画の味わいは西部劇のような展開で、列車強盗のスペクタクルや筏で川を下り、50万ルーブルを持ち逃げするニキータ・ミハルコフ扮する盗賊団の親分を追いかける白軍の将校(アレクサンドル・カイダノフスキー)と赤軍のシーロフ(ユーリー・ボガトィリョフ)らとの崖上と崖下とでの対決。崖上からニキータ・ミハルコフが機関銃を撃ちまくる。どんでん返しの連続が楽しめる。
 余談ですが、ニキータ・ミハルコフの兄のアンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキーが、黒澤明菊島隆三の原案の『暴走機関車』をハリウッドで監督しているという。