ニキータ・ミハルコフ監督の映画『愛の奴隷』

 今月(2月)の特集、「ニキータ・ミハルコフ監督特集」の1970年代に制作された作品の一本。
 ニキータ・ミハルコフ監督の映画『愛の奴隷』(1976年、旧ソ連、93分、カラー)を観る。
 出演は、エレーナ・ソロヴェイ、ロジオン・ナハペトフ、アレクサンドル・カリャーギン、オレーグ・バシラシヴィリ。
 特集パンフレットより。
1918年のロシア。女優のオリガは映画の撮影中にカメラマンと親しくなる。やがて、革命の波がロケ地の黒海沿岸まで押し寄せてくるが・・・。南ロシアを舞台に、1人の女性が時代の嵐に翻弄されながらも新しい愛と人生に目ざめてゆく姿を描く。

 政情が不安のモスクワを離れて遠く南の保養地で、映画の主役の俳優がモスクワからやって来るのを待つ撮影隊の女優のオリガ(エレーナ・ソロヴェイ)と撮影隊のカメラマンのポトツキー(ロジオン・ナハペトフ)の物語。
 ポトツキーは共産党の地下活動家で、仲間が反革命政府の憲兵隊に逮捕され乱暴に扱われる場面を隠し撮りしていた。また残虐な処刑の場面も撮影していた。それをモスクワへ送り国際社会に知らせようとしていたが・・・。
 それをかぎつけた憲兵隊が撮影隊の中にフィルムを持っている者がいるに違いないと捜索に来るのだった。
 ポトツキーはフィルムを持っている身の危険を感じて、隠そうとして女優のオリガにフィルムを預けた。
 だが、直後に車を運転していたポトツキーが街中で憲兵隊の銃撃で無残にも殺されてしまう。
 オリガは映画女優として人気があったのだが、虚像としての映画女優には飽き飽きしていた。
 それゆえか、それまで政治的には無関心だったオリガであったが、憲兵隊の蛮行に殺されたポトツキーの無念さを晴らすかのように決然と立ち上がった。
 ポトツキーの仲間と共にフィルムを持って脱出するオリガ、乗っ取った路面電車のレールの上を一人生き残り運ばれてゆくエレーナ・ソロヴェイの表情が印象に残る。
 路面電車の後ろからは追って来る騎馬憲兵隊の一団・・・。そして、エンドマーク。
 余談ですが、エリダル・リャザーノフ監督の映画『ふたりの駅』に出演のオレーグ・バシラシヴィリがプロデューサー役で出演している。

映画『愛の奴隷』のエレーナ・ソロヴェイ。