グローヴ・プレスのこと

 「植草甚一スクラップブック17 アメリカ小説を読んでみよう」に、「ぼくの好きな50冊の小説」として、植草甚一の「ぼくの好きな小説」の書評を展開しています。
 1964年、65年、66年に「図書新聞」に執筆した書評のうちの一つです。
 そのなかの一冊、アンソニー・ヘクストール・スミス「女王陛下のお婿さん」の書評は次のように始まります。

 グリニッチ・ヴィレッジのグローヴ・ストリートにあるグローヴ・プレスから出る本には、これがいい例だが、手にするまでは何だかよく分からないシロモノがあって、それを買わせる商売のうまさには昔パリで悪名を轟かしたオベリスク・プレスを手本にしたようなところがある。どのイギリスの出版社も敬遠した小説がこれだと宣伝すれば、グローヴ・プレスには相当のファンがついているし、みんなコロリとなってしまうのだ。ぼくもその一人だった。  93ページ
 「グローヴ・プレスには相当のファンがついているし、みんなコロリとなってしまうのだ。ぼくもその一人だった。」の箇所で、グローヴ・プレスという出版社の名前に覚えがあったような気がしました。
 ちょっとこれではなかったかと探してみると、グローヴ・プレスの本が出てきました。
 なんと、リチャード・ブローティガンのペーパーバックでした。
 
 
 A Confederate General from Big Sur
 by Richard Brautigan

AN EVERGREEN BLACK CAT BOOK
GROVE PRESS