雲霧にこずゑは見えず遅ざくら


 晴れる。最低気温7℃、最高気温23℃。
 5日、二十四節気のひとつ清明であった。草木が新たになり天地が澄む季節になった。
 大きな通りの緑地にクローバーの白い花が一面に咲いていた。
 「雲霧にこずゑは見えず遅ざくら
 昭和九年(1934)の飯田蛇笏の俳句である。
 前書きが、「四月十二日、雲水宋淵の東道にて汀波、呉龍と四人連れ大菩薩登山を決行せんと微雨を衝いて神金雲峰寺に到る。庭前の櫻、樹齢六百年と傳ふ」とある。
 「東道にて」は、同道、連れだって一緒に行く。
 蛇笏と宋淵と汀波と呉龍との四人が、小雨の中を大菩薩登山を思い切っておこなった。
 神金雲峰寺に行き着く。庭先を見ると樹齢六百年の桜が咲いていた。傳ふは、伝えられている。
 呉龍は高室呉龍、雲水宋淵は中川宋淵であろうか。