ひそかな楽しみ


 20日は二十四節気のひとつ穀雨である。
 曇りで、最高気温16℃、最低気温10℃。
 雨が降り大地がうるおう。ツツジが咲き出している。
 「波」4月号で、山折哲雄の「ハイカラな本にはロクなものがない」を読んだ。
 新刊で、『これを語りて日本人を戦慄せしめよ』(新潮選書)についての筆者の思いを述べている。
 一部引用する。
 

 私は定年を迎えて最後の職場を離れるとき、これからあとは柳田国男長谷川伸を読んで暮そうと思うようになっていた。二人の全集を手元において、読み直したり、ひろい読みしたりして過そうと、ひそかな楽しみにしていたのである。(中略)
 柳田国男というとひまさえあればこの国の村や里や山地を旅して歩いていた。全国どこへでも足をのばし、くまなく歩き回っていたように思う。もちろん海をへだてた島々にも、船にゆられて渡っていった。(中略)
 今日の時点で日本列島を世界にどう位置づけるか、柳田の考え方が新鮮な輝きを放って蘇ってくるのではないだろうか。  42ページ