夏山やうす日のあたる一ところ

 晴れる。最高気温26℃、最低気温16℃。さわやかで気持のよい風が吹く。
 公園の池に睡蓮が咲いていた。蛙の声は聞こえず、池には静かな水面が広がっている。

 「夏山やうす日のあたる一ところ
 芥川龍之介の俳句で、大正十一年の句である。
 前書きに、「加茂堤」とある。加茂堤とは、京都の鴨川の岸辺であろうか。
 芥川の年譜を見ると、大正十一年(1922)四月二十五日に長崎への旅行に出かけている。
 五月十日に長崎に到着しているが、途中、京都に滞在して祇園に遊んでいる。
 夏山やの山は、八坂神社、円山公園祇園の周辺の山の新緑の風景を思い起こさせる。