蟲ひとつ鳴きおとろふるこゑちぎれ

 2日、晴れる。最高気温30℃、最低気温23℃。夕方に上弦の月が眺められた。 
 先日、公園の池にシオカラトンボを見つけた。人が近寄っても逃げる気配がない。
 蝉時雨(せみしぐれ)のなかで、ツクツクボーシという蝉の声が聞えて来た。
 ツクツクボウシのようである。声はすれども姿は見えず。
 夕暮れ時に、ツクツクボウシは鳴いている。

 セミ科の昆虫。体長は翅(はね)の先まで約四・五センチ。暗黄緑色の地に黒紋があり、背にW形の紋をもつ。晩夏から秋にかけて現れ、雄はツクツクオーシと鳴く。  『大辞泉

 

 飯田蛇笏の俳句で、「山響集」(こだましゅう)の昭和十四年の句に、「蔬菜園」と前書きがあり、七句。


 とぶなべに影ほのかなる瓜の蟲
 蟲ひとつ鳴きおとろふるこゑちぎれ
 圃土を這ふ蟲かげもなくなりぬ
 地をふみて秋を侘びしき鵜匠かな
 秋蝉に午後はわびしき雲あかり
 秋の蝉夜も鳴く月のさしそめぬ
 奥山の寒蝉月になきにけり