「生誕100年 宇野重吉特集」からの一本で、吉村公三郎監督の映画『西陣の姉妹』(1952年、大映京都、110分、白黒)の次に、溝口健二監督の映画『西鶴一代女』(1952年、新東宝、児井プロダクション、136分、白黒)が上映される。
どちらも昭和二十七年公開作である。新東宝と児井プロダクションの制作で、観客がとても多かった。
『西鶴一代女』の出演は、田中絹代、三船敏郎、宇野重吉、菅井一郎、進藤英太郎、沢村貞子。
井原西鶴の『好色一代女』をもとに、御殿勤めから、殿の側室、島原の太夫と様々に流転を重ねるヒロインお春の生涯を描く。溝口健二監督が長回しのキャメラワークで封建時代の女性の悲劇を冷徹に見つめる。(特集パンフレットより)
脚本は依田義賢、美術に水谷浩。
宇野重吉は扇屋の弥吉を演じている。お春は、扇屋の弥吉に嫁いでしあわせな生活をしていたのだが、外出先で夫の弥吉が強盗に襲われ殺されてしまう。夫を失い、次第に転落してゆくお春を冷たく突き放すかのように描写していく。
脇役に市川春代、原駒子、毛利菊枝、大泉滉、小川虎之助。菅井一郎が、お春の父親を演じるが、めずらしく悪役ではない。
原駒子、市川春代が共演している!
戦前に活躍した女優で、原駒子は東亜キネマ(京都撮影所)で制作された後藤岱山監督の映画『魔剣 白藤幻之介』(1930年6月公開)に、白藤幻之介役の市川竜男と共演している女優。
市川春代は、マキノ正博監督の映画『鴛鴦歌合戦』(1939年、日活、69分、白黒)が有名ですね。
左が田中絹代、右が宇野重吉