ながき夜の枕かかえて俳諧師

 晴れる。最高気温29℃。最低気温22℃。夕方、青空の南東に月が眺められた。半月である。
 街路樹のノグルミの実が落ちて、幹の周辺に散ばっていた。
 拾って触ると、堅くてとげとげしい。松ぼっくりのような形だが、ハリネズミのような感じがする実だ。

 

クルミ科の落葉高木。日当たりのよい山地に生え、高さ約一〇メートル。葉は長楕円形で羽状複葉。六、七月ごろ、黄色の花穂が集まって直立してつく。実は染料に用いる。のぶのき。  『大辞泉

 飯田蛇笏の大正六年の俳句に、
 「ながき夜の枕かかえて俳諧師
 この句の前書きが、「半宵眼さむれば即ち灯をかかげて床中句を案ず」とある。
 夜中に眼を覚まし、俳句をあれこれと考える。蛇笏が秋の夜長を過ごしている情景が浮かぶ。
 同じく大正六年の俳句に、
 「あきかぜやためてよしなきはした銭
 「あきかぜや痢してつめたき己が糞