オタール・イオセリアーニ監督の映画「落葉」

映画「落葉」

《カンヌやベルリン、ヴェネチアなど海外の名だたる映画祭で数々の賞を受賞するなど世界各国で高い評価を受けるグルジア出身の名匠、オタール・イオセリアーニ。今回の特集では、ワイン工場で働く若者の日常を描いた「落葉」、思わぬ自由な時間を得て、人生を再発見していく男性の姿をユーモラスに描いた「ここに幸あり」など、4作品を上映します。ぜひご鑑賞ください。》

 オタール・イオセリアーニ監督の映画『落葉』(1966年、旧ソ連グルジア、96分、白黒)を観る。
 出演は、ラマーズ・ギオルゴビアーニ、マリーナ・カルツィヴァーゼ、ゲオルギー・ハラバーゼ。

 ワイン工場で働くことになったニコは、まじめな人柄で従業員の信頼を得る。工場では、ワインの質の向上よりも生産量を上げようと、まだ酸味の残るワインを出荷しようとするが、ニコたちは反対する・・・。グルジアの自然豊かな町を舞台にワイン工場で働く若者の日常を描く。 (特集パンフレットより)


 冒頭、ぶどう畑で多数の農民が働いている。収穫したぶどうを馬の背に積んで運ぶ。集めたぶどうの山を足で踏んでジュースを作り、地面に掘った穴の中へ発酵させるために入れている。発酵して熟成したワインを穴から取り出して、農民らは宴会を開く。ワインを飲んで歌ってと楽しむのだった。
 そして、農村の風景からワイン工場の風景へと切り替わる。
 主人公のニコ(ラマーズ・ギオルゴビアーニ)は、新人の醸造技師として初めて働くことになる。
 同僚になった女性技師(マリーナ・カルツィヴァーゼ)はニコの住む隣人で顔見知りだった。
 女性技師はワイン工場見学する団体客を案内する仕事をやっている。
 仕事が済んだ後、一緒に帰ったりするようになるが・・・。
 ある日、工場から出荷するワインにまだ熟成していない酸っぱいワインを上司の命令で出すように言われたのだが、現場の職人と発酵責任者のニコは反対した。
 会議でニコは、きまじめであることを幹部や同僚らから嘲笑された。
 会社の会議でもニコの発言は退けられて、酸っぱいワインを会社は製品として出荷した。
 
 町へ出荷されたワインをワイン関係者がレストランへ入って飲んだのだが、思ったように酸っぱくて飲めない代物だった。
 品質を保つという信用を台無しにする会社側の生産第一主義に反発したニコは、同僚の女性技師との仲もうまくいかず悩んでいたが、突拍子もないある行動に出た。
 ゼラチンを煮て溶液を、例の酸っぱいワイン貯蔵樽に賛同する職人たちに手伝ってもらい流し込んで固めてしまった。

 人々の喧嘩したり歌ったり飲んだり悲しんだり喜んだりと人生の様々な模様が、ユーモラスな笑いを誘う。