「追悼、高倉健」を読む

 「週刊文春」の小林信彦の連載「本音を申せば」で、「追悼、高倉健」を読む。

 《一九六〇年代の東映経済を支えた〈健さん〉をぼくが積極的に観に行く気になったのは、内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズにおける佐々木小次郎役であった。背が高くカラフルなあの小次郎でなければ、中村錦之助の武蔵には対抗できなかったと思う。
 年代的に、ぼくは「死んで貰います」という台詞を愛した全共闘世代より少し古いのだが、藤純子の引退記念映画「関東緋桜一家」(七二年)を観て、なんとなく〈健さん〉の時代は終るのではないか、と予感した。(中略)
 マキノ雅弘が、森繁久弥高倉健藤純子は天才的なスターだと語っていた、とラジオである芸人が話していたが、ほぼそういって良いと思う。
 そして、「幸福の黄色いハンカチ」(原案はアメリカのフォークソング)の高倉健はどうも合わない、と語っていたが、ぼくもそうである。(中略)
 だが、いまや〈国民的スター〉であり、当分は別格扱いになるだろう(「ブラック・レイン」の特別上映などは良いことだが――)高倉健についてうっかりしたことは言えない。
 ぼくも、心の中で手を合わせることにしよう。》

 小林信彦さんの「追悼、高倉健」に、高倉健を積極的に観に行く気になったのは、内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズにおける佐々木小次郎役であった、と書いています。
 内田吐夢監督の「宮本武蔵」の佐々木小次郎役の高倉健は良いですね。
 関川秀雄監督の『大いなる旅路』(1960年、東映、95分、白黒)は、三國連太郎と風見章子夫婦の昭和時代の鉄道員一家の物語なのだが、その次男役で高倉健が出演していました。
 鉄道ファンにはお勧めの作品です。蒸気機関車の今では観られない躍動感あふれる迫力ある映像が素晴らしい。
 実物の蒸気機関車を脱線させて撮ったシーンがあります。