晶文社からの新刊で山口昌男著『エノケンと菊谷栄』という本の人物で菊谷栄について、山口昌男の本から探っています。
『山口昌男ラビリンス』という大型本があります。
本書の編集を担当した川村伸秀さんが、「本書では、著者が述べていることをできるだけ広い文脈のなかで捉えられるように脚注を設けた。」とあり、本文を補足する文献からの引用または解説と、発表当時の時代背景の解説などもあり、興味のある箇所も別冊の人名索引から容易に見つけられるように便利にできています。
「思想のパフォーマンス」という、1986年の小松和彦と山口昌男の対談に、
小松 それで、また道化に戻る山口さんの活動で、当面これに没頭したいというテーマは何ですか。
山口 それは「エノケンと菊谷栄」なんですね。
小松 そのテーマは数年前から口にされているので相当長い論文になりそうですね。
山口 いままで四百五十枚書き溜めた、この三年間でね。僕も意外にネアカに見えるけれども、ネクラなところがあるでしょう。
エノケンと菊谷栄というのは、なんといっても日本のモダニズムの原点みたいなところがありましてね。昭和モダニズムの源流の一つに青森県の都市文化があるということを示そうとしているのですがね・・・・・・。 63ページ
(中略)芸能の昭和モダニズムというのは、丸の内に対する浅草、それから東京に対する青森という、そういう情熱のぶつかり合いによって支えられていた。 64ページ
青森生まれの菊谷栄と東京麻布十番で育ったエノケンとがどういうふうにして出会ったかということを調べ、出会った瞬間に、どういう交流が行われたかということに探りを入れてみた、と山口さんが語っています。
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