「ハント・ザ・ワールド ハーバード大学 感覚民族誌ラボ傑作選」の一本。
「リヴァイアサン」(2012年、アメリカ、フランス、イギリス、87分、カラー)を観る。
原題、LEVIATHAN。
ニューベッドフォードかつて世界の捕鯨の中心地であり、メルヴィルの『白鯨』をインスパイアした港町を出航するトロール船アテーナ号、危険で過酷な漁は数週間にわたり、船は漆黒の海をゆく。観るもののド肝を抜く、圧倒的な映像と音響が描くのは、わたしたち人類の野蛮さそのもの。それはあまりにも美しい黙示録の体験である。(パンフレットより)
監督、ヴェレナ・パラヴェル、ルーシャン・キャステーヌ=テイラー。
冒頭、闇の中の海上で波によって絶え間なくゆれる船内風景。
黙々と作業をするトロール漁の漁師の姿が強烈な映像と音とで描かれているのに圧倒された。
あっけにとられる海から網で引き上げられた大量の魚は、彼らによって一匹一匹と仕分けされ、解体され洗浄されて仕分けられる。
不要な部分は海へ捨てられる。それを餌(えさ)としてカモメが船の中へ潜り込んで食べようとする。
漁師二人で、一人がエイをつかみ、もう一人がひれの部分を切りとって身の部分は捨てる。
カモメの群れの乱舞する大空は大迫力で印象的なショット。
雄大な自然を舞台に漁をするトロール船を描いたドキュメンタリー映画の傑作である。