鴨(かも)が川を泳いでいた。渡り鳥のヒドリガモのようにも見えた。
もう渡り鳥の飛来か? しかし、くちばしの先が黄色く見えるので、調べると、渡り鳥ではなく季節による移動をしない一年中、同じところに棲(す)みついている鳥のカルガモだった。漢字は軽鴨と書く。
カモ科の鳥。全長六〇センチ。全体に黒褐色で、くちばしの先が黄色く、雌雄同色。東アジアに分布し、日本では留鳥で、川や池沼にすみ、都市公園でも繁殖している。なつがも。 『大辞泉』
「鋭声して翡翠とつてかへすまで」
「鳰(にお)の子は真黒にして従へる」
「鳰(にお)の子のおくるるに親泳ぎ寄り」
「萍(うきくさ)のすぐ道とざす家鴨の子」
昭和十九年(1944年)の中村汀女の俳句です。
「湖水抄 四句」という前書きがある。
鳰(にお)は、カイツブリですね。
「鳰(にお)の子のおくるるに親泳ぎ寄り」は、カイツブリの親鳥が子を引き連れて泳いで進んでいるのだが、遅れて群れから離れた子を心配し、その子の方へ泳ぎ寄っている。
カルガモ