「曰くありげ」と落語「百川」

ザクロ

 ザクロの果実が鮮やかな色をしている。 

ザクロ科の落葉高木。葉は長楕円形。六月ごろ、筒形で多肉質の萼(がく)をもつ橙赤色の花をつける。果実は球形で、紫紅色に熟すと裂けて種子が現れる。果実の外種皮を食用に、また樹皮を駆虫薬に用いる。ペルシア地方の原産。せきりゅう、じゃくろ。  『大辞泉

 「春秋」8・9月号に掲載の松岡正剛『「曰くありげ」の社会史の可能性』が、京都の呉服屋だった生家の日々の暮らしぶりを書いている。
 商家の町屋の日々の暮らしがどのようであったか、松岡さんの生家にやって来るお客さんのことや、何の効き目があるかわからないような「おまじない」や縁起をかつぎ、屈託なく暮す京都の商家の生活が垣間見られる。
 つまり、松岡さんの思想の秘密が垣間見られると思わされるのだった。
 他に、池内紀「わたしの五十三次 考現学的考察」の連載が「日本橋・振り出し」で完結した。

 30日のラジオ深夜便で、落語100選、「百川」(ももかわ)を落語家の初音家左橋の噺で聴く。
 金原亭馬生による「百川」の解説が興味深かった。
 ところで、偶然にも、池内紀「わたしの五十三次 考現学的考察」の連載の最終回「日本橋・振り出し」に、「百川」についての記述があったのだ。

 《そういえば落語でおなじみの人物は、おおかたこのエリアとかかわりあって登場する。「百川」(ももかわ)では、日本橋浮世小路の料理茶屋百川にとびこんできた百兵衛が笑いの主人公だった。「寝床」に語られている義太夫狂いは日本橋の大店(おおだな)の主人だし、「御神酒徳利」(おみきどっくり)で活躍する即席の占い術師は、日本橋馬喰町の旅籠の番頭だった。》 32ページ