『ヨーロッパ特急』を読む2

 阿川弘之著『ヨーロッパ特急』は昭和38年(1963年)9月発行の本である。

 一九六三年四月二日 機上。
 エール・フランス一九七便、香港、バンコクニューデリーテヘラン経由パリ行。
 

 目次
 
 第1日 機上
 第2日 ローマ
 第3日 パリ
 第6日 ハンブルグ
 第8日 ヴォルフスブルク
 第9日 ベルリン
 第10日 フランクフルト・アム・マイン
 第13日 マドリッド
 第16日 パリ
 第18日 ロンドン
 第21日 モスコー
 第24日 ニース
 第27日 地中海
 第31日 大西洋
 第35日 ニューヨーク
 第39日 モントリオール
 第44日 ココア・ビーチ
 第48日 シカゴ
 第51日 ニューヨーク
 第56日 ナルヴィク
 第60日 機上

 《コペンハーゲンの二た晩は、今度のヨーロッパ、アメリカの旅で、最後の二た晩になった。私は時間を出来るだけ有効に使おうと、車をまた一台借りて、アマゲルトルフのイルムスという、松屋のグッド・デザイン・コーナーの本家みたいな、美しい家具食器の並んだ店を訪ねたり、ティヴォリの楽天地へ行ったり、郊外のハムレットの城まで、往復八十キロばから走ってみたりした上で、三十日の朝、SASの六二一便メトロポリタンでハンブルクへ出た。
 北極まわりのエール・フランスの東京行までには、ここで三時間ほど待合せ時間がある。もうもう乗物もたくさんだと言いたいところだが、実は五十日前に未練を残して、仕方なくアウトバーンへ乗り入れてしまったハンブルクの地下鉄には、やっぱりちょっと未練があり、私は荷物を全部飛行場に預けて、赤い市電でハンブルクの市内へ出た。》  308〜309ページ