みいくさの馬糧の茶殻干せし冬

 最高気温16℃、最低気温7℃。二十四節気のひとつ冬至で、晴れた。
 冬至にしては、気温が高い日がつづく。
 街路樹のツバキに満開の五弁花が見られた。
 近くで見ると湯飲み茶碗のような形をした花である。

 

 「みいくさの馬糧の茶殻干せし冬
 「人波のここに愉しや日記買ふ
 「師走人おおと焚火を避け過ぎぬ


 中村汀女の昭和十五年(1940年)の俳句です。

 「みいくさの馬糧の茶殻干せし冬」の句は、陸軍の軍馬用の餌(えさ)としての茶殻(ちゃがら)を干している冬の風景を詠んでいるのでしょうか。
 「馬糧の茶殻」を検索すると、「日本の古本屋」に、「愛国茶殻ー茶殻がそのままだいじな馬糧・馬もたぬ家は茶殻で御奉公」という本が見つかりました。満蒙社、昭和16年1月。
 馬もたぬ家は茶殻で御奉公とあります。
 当時、国策で家庭の茶殻を干して馬の餌(えさ)として回収していたようです。
 相当に軍馬用の餌(えさ)が不足していたのでしょう。
 そういえば、山本嘉次郎監督の映画『馬』(1941年、東宝映画、映画科学研究所、127分、白黒)が当時作られています。
 陸軍の軍馬を育てる東北の農村の一家の物語です。 
 馬が軍隊にとって、いかに大事であるか分かる、啓蒙的な側面もある作品になっています。
 高峰秀子、竹久千恵子、藤原鶏太、丸山定夫沢村貞子が出演している。
 チーフ助監督に黒澤明