映画「山守クリップ工場の辺り」

山守クリップ工場の辺り

 中島悠喜監督のアニメーション「乱波」(2014年)の上映後、池田暁監督の映画「山守クリップ工場の辺り」(2013年、99分、カラー)を鑑賞する。
 
 手作業でクリップを生産する工場、見たことも聞いたこともない飲食物、いつかもわからない時代設定。独特の世界観で、希望も無い日々を淡々と生きる仔細な出来事を描いた、少しダークなファンタジー (「PFFアワード・セレクション」パンフレットより。)


 坦々とした日常の生活を描いているのだが、奇妙な味わいのあるコメディー映画である。
 見ながら笑いをこらえることができなかった。
 公園でデートする二人がお腹が空(す)いて、男が露天商に食べ物や飲み物を買いに行く。
 見たことも聞いたこともない不思議な飲み物を奇妙な女から買い込む。
 そのやり取りが人間離れした語りと動作である。
 稲荷寿司を二人分買って来るが、女は要らないと放り捨てる。
 場面場面の登場人物の言動と行動のささやかな細部に不思議な味わいのある映画。