「サウンド・アンド・サイレント」
およそ100年前の映画館には楽士がいて、映画にあわせて伴奏していました。小さい映画館ではピアニスト、大きなホールではオーケストラの伴奏付きで映画は上映されていました。映画館では映画と音楽の2つの楽しみを味わうことができたのです。音楽の伴奏で映画がより輝きをまします。映像と音楽の共演「サウンド・アンド・サイレント」をご堪能ください。(パンフレットより)
柳下美恵さんのピアノ演奏による無声映画を映像文化ライブラリーで観た。
八代毅監督の映画『争闘阿修羅街』(1938年、大都映画、36分、白黒、無声)である。
出演はハヤブサ・ヒデト、大河百々代、大岡怪童、高村栄一、大山デブ子。
上映前に学芸員の解説があり、この映画の主演のハヤブサ・ヒデトは広島市出身のアクションスターであるという。大都映画というのは、東京の巣鴨に撮影所があった映画会社という。
監督の八代毅とはハヤブサ・ヒデトの監督名であるそうだ。
162センチ、60キロの体で鳥人と呼ばれていたアクションスターで身軽に空を飛ぶシーンがこの『争闘阿修羅街』でも観ることができる貴重な映像がありますから見逃さないように、とのこと。
新聞記者が悪漢の手から発明品と研究者の令嬢を救い出すスリリングな活劇。広島市出身のアクションスター、ハヤブサ・ヒデト主演作。 フィルム提供/マツダ映画社。
主人公の新聞記者をハヤブサ・ヒデト、カメラマンのデブ山を大岡怪童が演じる。
二人のコンビが発明家の家に行き特種を持って帰れと編集長から命令された。
取材先で、研究者とその令嬢から取材を断わられた。
研究者と令嬢は別荘へ車で向った。
後をオートバイで追っかける二人のコンビ。
ハヤブサと令嬢(大河百々代)の二人が互いに意地悪をするのがコミカルで楽しい。
見どころは、鳥人スターといわれたハヤブサ・ヒデトの曲芸的なアクションシーンだ。
逃げる悪人一味の車を追いかけるのに、ビルとビルの間を鳥人のように軽々と飛び越えるのだ。
ビルの屋上から長いロープを伝わって遠くの橋までするすると滑って移動して行く。
道に寝そべっていて、自分に向って走って来る車のバンパーの下へ潜り込み、するりとボンネットの上へ這い上がって来るシーンは凄い。危険なシーンも軽々と演じている。
気の強い令嬢の大河百々代のコミカルな演技も愉しめた。