柳萌え温室の花より淡かりき


 公園の岸辺に枝垂れ柳の花が咲き乱れていた。
 春風は垂れ下がった枝の花をゆらゆらと揺らす。

 ヤナギ科の落葉高木。枝は垂れ下がり、細長い葉をつける。雌雄異株。早春、黄緑色の花を穂状につける。日本には古代に中国から渡来。垂楊(すいよう)。糸柳。しだりやなぎ。  『大辞泉

 


 「柳萌(も)え温室の花より淡かりき


 昭和十五年(1940年)の飯田蛇笏の俳句である。
 前書きは、「昌慶苑内グリーンハウス」。

 柳が黄緑色の淡い若い芽をのばしている。昌慶苑のグリーンハウスに眺められる花々よりもこの柳は淡い色をしているよ。
 「昌慶苑内グリーンハウス」というのは、蛇笏が訪れた京城(今のソウル)にあった昌慶苑の植物園の温室で、グリーンハウスと呼ばれていたのでしょうか。