うたたねをわが許されて蜜柑咲く

 
 快晴で気温が上がるが、吹く風は爽やかだ。道端にタンポポが咲いていた。
 夕方、上弦の月が南の空高く眺められた。
 月の左に明るい星が接近している。木星だ。

 キク科タンポポ属の多年草の総称。野原や道端に生え、根際から羽状に深く裂けた葉を放射状に出す。三、四月ごろ、花茎を伸ばし、頂に黄色または白色の舌状花のみからなる頭状花を開く。種子は上部に白い毛をつけて風に飛ぶ。葉を食用とし、根などを漢方で催乳に用いる。日本ではカントウタンポポカンサイタンポポエゾタンポポシロバナタンポポなどが自生し、セイヨウタンポポ帰化している。蒲公英。  『大辞泉


 「筑紫野の代掻く馬の長尾かな
 「柿若葉老い給ふといふまじく
 「うたたねをわが許されて蜜柑咲く
 「子燕のさざめき誰も聞き流し
 「ほしいまま茂る木の間を親燕


 中村汀女の俳句で、昭和十七年(1942年)の句です。

 前書きは、

 帰省 二十九句 五年振りにて、父母しきりに待ち給ふよし、五月なかばになりて立つ
 とあり、上記の句は、冒頭の五句です。