峡(かひ)の白鷺夕日はものを細うなす


 遠浅の浜に白い鳥が歩き回っている。
 近くまで寄って行ったのだが、白い鳥は人の気配に平然としている。
 餌を探している。頭に冠羽が見られない。くちばしは黒い。
 コサギかと思い調べると、くちばしと眼の位置から、夏鳥チュウサギ(中鷺)のようだ。


 「峡(かひ)の白鷺夕日はものを細うなす
 「掌の白桃父の願ひぞ子に實りぬ
 「白桃や彼方の雲も右に影


 中村草田男の俳句で、昭和十九年(1944年)の句です。