印象的だった作品

プログラム表紙・林静一

 第16回広島国際アニメーションフェスティバルの最終日、表彰式・閉会式の後に受賞作品の上映会があった。
 印象的だった作品を挙げると、


 観客賞のナターリア・チェルニェソヴァ監督の『ザ ゴッサマー』(ロシア)4分4秒。
 国際審査委員特別賞のユリア・アゴノバ監督の『ワン トゥ ツリー』(フランス、スイス)6分33秒。
 デビュー賞のガブリエル・アレル監督の『ユル アンド ザ スネーク』(フランス)12分38秒。
 木下蓮三賞ダヴィッド・コカール・ダソ監督の『ペリフェリア』(フランス)12分12秒。
 
 ナターリア・チェルニェソヴァ監督の『ザ ゴッサマー』は、部屋でお婆さんが編み物をしていると、天井からは蜘蛛(くも)が吊り下がって編み物のように巣を編んでいる。
 蜘蛛の編み物とお婆さんの編み物をめぐる明るく滑稽なアニメーションだった。

 ユリア・アゴノバ監督の『ワン トゥ ツリー』は、森の木が根を地面から抜けて歩き出した。これも明るくナンセンスな愉しいアニメーション。
 
 ガブリエル・アレル監督の『ユル アンド ザ スネーク』は、人の心の弱さや暴力的な行為の心の底に横たわる葛藤を、主人公が蛇(へび)を捕まえようと追い駆けたが、逆に蛇に捕まえられて、グルグル巻きにされる動きのある映像で表現している。

 ダヴィッド・コカール・ダソ監督の『ペリフェリア』は、人間の気配がない荒涼とした都市に動くものは犬の群れだけという世界を描いている。未来の世界を暗示するかのように・・・。