青空は遠夏山の上にのみ

 先日、公園の樹木にモミジバフウの葉っぱと果実を見つけた。
 葉の形がモミジの葉っぱに似ている。モミジよりも大きな葉っぱだ。
 果実の形が、刺々(とげとげ)しい。


 「霧うすき小諸城址に入らんとす
 「蝉咽ぶ他郷信濃の古城址
 「城頭の夏芝に枯れ一つ松
 「青空は遠夏山の上にのみ
 「婆々の背に胡桃の袋かつかつと



 中村草田男の句集「火の島」に所収の句から。
 昭和十二年(1937年)の句です。
 

 『新刊展望』9月号の「今月の主な新刊」で、『J・G・バラード短編全集(1)時の声』(東京創元社)に注目した。監修は柳下毅一郎氏。
 J・G・バラードの全短編を、発表順に五巻に集成する。その第一巻で、代表作「時の声」など十五編を収録という。
 長編小説の『狂風世界』、『沈んだ世界』、『燃える世界』、『結晶世界』などは愛読したものである。短編はあまり読んでいないので、各巻の作品とその解説は読んでみたい。