殊更に歩をゆるめしが田鴫(たしぎ)撃つ

 6日、快晴で北寄りの風が強い。最高気温20℃、最低気温12℃。
 風波にゆれる川面(かわも)に渡り鳥のヒドリガモが群れていた。
 7日は二十四節気のひとつ立冬である。最高気温18℃、最低気温8℃。
 晴れた夕方の空に上弦の月が見られる。西の空には金星が明るく輝いている。
 宵の明星として月末にかけて日没後の高度がしだいに上がって来る金星だ。
 天体観望に最適な季節を迎えている。


 「船まこと二三ならずよ冬霞
 「冬晴や松の青さに松ぼくり
 「殊更に歩をゆるめしが田鴫(たしぎ)撃つ
 「葱屑の水におくれず流れ去る


 中村汀女の俳句で、句集「都鳥」からの句です。昭和二十六年(1951年)刊。
 前書きに、「風花」句会場、朝美舎は麻布鳥居坂上、谷をへだてて遠く品川の海見ゆ、とあります。

 「殊更に歩をゆるめしが田鴫(たしぎ)撃つ」の田鴫(たしぎ)は、シギ科の鳥で水田や湿地、川原などで見られる冬鳥、旅鳥