時雨るるや水をゆたかに井戸ポンプ

 曇りのち、夕方に時雨れる。最高気温16℃、最低気温12℃。
 歩道脇の草地に、ねこじゃらしの穂を見つけた。
 夏の頃は緑色の穂だったが、色が枯れはじめている。犬の尾の草。
 

エノコログサ(狗尾草)イネ科の一年草。路傍や空き地の至る所にみられ、高さ四〇から七〇センチ。葉は細長く、先がとがる。夏、茎の頂に円柱状の太い緑色の穂を一本出し、子犬の尾に似る。ねこじゃらし。  『大辞泉


 「まだ犬もつながれしまま夕時雨
 「遮断機のあがれば子供夕時雨
 「時雨るるや水をゆたかに井戸ポンプ
 「子等のものからりと乾き草枯るる


 中村汀女の俳句で、昭和十二年(1937年)の句です。
 この四句の前書きが、「十月末北澤の家に入る」とあります。
 「時雨るるや水をゆたかに井戸ポンプ」の井戸ポンプですが、当時の世田谷の下北沢の家の庭に、まだ井戸があったのでしょうか。