映画『ノン、あるいは支配の空しい栄光』

ノン、あるいは支配の空しい栄光

 「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」が1月26日から2月9日まで映像文化ライブラリーで開催されている。

 『ノン、あるいは支配の空しい栄光』(1990年、1時間50分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を観る。


 出演はルイス・ミゲル・シントラ、ディオゴドーリア、ミゲル・ギリェルメ。

 1974年、独立戦争が長期化していたアフリカのポルトガル植民地で、疲弊した兵士たちは戦争の意味と自国の歴史を振り返る。カモインスの叙事詩ウズ・ルジアダス」、アントニオ・ヴェイラ神父、フェルナンド・ペソア、ジョゼ・レジオなどの文学作品に想を得て、ローマ時代から20世紀まで、ポルトガル民族の2000年にわたる歴史の中の四つの敗北の歴史を描く。オリヴェイラによる壮大な歴史・戦争映画。(特集パンフレットより)

 冒頭、兵士を積んだ軍用トラックが草叢(くさむら)に囲まれた道路を走っている場面ではじまる。巨木が一本そびえるシーンが印象的だ。
 ポルトガル軍の少尉(ルイス・ミゲル・シントラ)の率いる小隊は、アフリカの植民地に駐屯している部隊だ。 
 作戦任務で移動中である。隊員たちは背中合わせにトラックの荷台に座り会話をしている。元大学で歴史学の研究をしていた少尉の話に聞き入っている。ポルトガルの歴史の四度の敗北について語ってゆくのだった。
 
 
 その歴史上の敗北の戦争や栄光の時代の国王の結婚式を豪華絢爛に壮大に描いているのは見ごたえ十分!

 ラストは、小隊は樹林地帯で敵からの攻撃を受け応戦し、苦戦の撃ち合いで敵を退散させるが、小隊は多数の死傷者を出した。救出された少尉は軍の病院で瀕死で横たわるのだった。
 戦争の虚しさ無意味さを感じさせる映画で余韻を残す。