「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」からの一本。
『永遠の語らい』(2003年、1時間35分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を鑑賞する。
監督・脚本、マノエル・ド・オリヴェイラ。
撮影、エマニュエル・マシェエル。
出演、レオノール・シルヴェイラ、フィリッパ・アルメイダ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ、ステファニア・サンドレッリ、イレーネ・パパス。
9.11の事件をきっかけにして、西洋文明をテーマに雄大な地中海文明を辿る母と娘の旅。“観客の理性をも刺激する映画でありたい”という監督の信念によって描かれた美しい映像美と流麗な音楽、そして会話から生まれた問題作。オリヴェイラの人生観が、ギリシャやエジプトなどの歴史的観光地の美しい映像を通して語られる。名優たちによる競演も見もの。
ポルトガルの歴史学の教授の母が7歳の娘を連れて、インドのボンベイにいるパイロットの夫に会うために客船でインドへの旅に出た。リスボンを出港し、地中海を進む。フランスのマルセイユに寄港し、歴史的な遺跡を見て市場で地元の人と交わる。イタリアのナポリではポンペイの遺跡を、ギリシャのアテネではアクロポリスの丘のパルテノン神殿でギリシャ正教の聖職者との会話をし、西洋文明の歴史を振り返るのだった。トルコのイスタンブールやイエメンのアデンに寄港する。途中で乗船した有名人の女性3人と船長(ジョン・マルコヴィッチ)の四人が各国語を交えたサロン的な談話が毎夜開かれるのだった。
船長は母と娘の二人連れに興味を抱いて、アデンで人形を買って娘へプレゼントした。
娘は気に入って人形を大事にしていた。
しかし、ラストの衝撃的なテロと母と娘の運命には驚いた。