這ひ渡る蟻に躑躅は花ばかり

桐の花

 五月晴れで、最高気温27℃、最低気温19℃。
 桐の花が青空を背景に満開になっている。風が心地よい。
 

ゴマノハグサ科の落葉高木。高さ約一〇メートル。樹皮は灰白色。葉は大形の広卵形で長い柄をもち、対生。五月ごろ、紫色の鐘状の花が円錐状に集まって咲く。実は熟すと殻が裂け、翼をもった種子が出る。材は白く、軽くて狂いが少なく、げた・たんすなどに重用。中国の原産。しろぎり。  『大辞泉

 「這ひ渡る蟻に躑躅は花ばかり
 「顔打つて新樹の風のくだけ散る
 「わが影のはや添う菖蒲葺きにけり


 中村汀女の俳句で、昭和十四年(1939年)の句です。
 昭和十四年秋より世田谷の北沢で四年暮した時期のものです。