瀧おもて雲おしうつる立夏かな


 5月5日が、二十四節気のひとつ立夏であった。
 梅の実が膨らんで大きくなっている。

 街路樹のニセアカシアの花は風にゆれていた。
 公園の池に睡蓮が咲いていた。静かな水面に顔を出している。
 蛙の声は聞えない。


 「瀧おもて雲おしうつる立夏かな
 「田水みち日いづる露にへびいちご
 「アカシアの耕馬にちりて薄暑かな


 飯田蛇笏の俳句で、昭和十三年(1938年)の句です。